よきにはからえ

おもしろきこともなき世をおもしろく、住みなすものは心なりけり

授業参観

昨日、子供の授業参観に行ってきた。

1ヶ月くらい前に「2/26に子供の授業参観行ける?わたし仕事だから」と、嫁から、ぶっきらぼうに頼まれた。1ヶ月後の予定は流石に入ってないため「いいよ、行ってくるわ」と端的に答えた。

余談ではあるが、当然ながら、僕もその時間帯は仕事をしている。でも「まぁ俺も仕事があるけどね」等といった野暮な正論は、決して言わない。

もしうっかり言ってしまったら、その瞬間、嫁のトラップカード「え、今なんて言った?」が発動する。そして、嫁の体力が尽きるまで、エンドレス水掛け論が続くのだ。ぼくは長年の経験から、そのシナリオが、容易に想像できたので、黙って、粛々と依頼を承った。

そうは言っても、前向きに捉えれば、授業参観は、息子の社会性を観測できる数少ないサンプルである。勉強よりも、非認知能力に焦点が当てられているご時世において、集団生活での息子の立ち振る舞いは、親として気になるところ。家では、ポケポケのバトルでコインが2連続裏が出ただけで「うわああぁぁぁぁぁ」と発狂するモンスターなので、学校で心穏やかに過ごせているか不安でしかない。

そして、授業参観当日、教室に入って最初に思ったことは

「父親すくねぇぇぇぇぇぇ」

父親の育児が当たり前となりつつある時代で、半分まではいかないものの、3割くらいはいるだろうと思っていた。だが実際蓋開けてみると、父親は僕含めて3人だけ。とんだ見当違いである。

どうやら、授業参観はまだ「母親が行くイベント」と社会通念が健在してるらしい。ちょっと僕は時代を先取りしすぎたのかもしれない。ここまで少ないと、明らかに目立っていて、周りからは、嫁がヤバい人 or シングルファーザーのどちらかに見えるかもしれない。正解は前者です。

取り留めのない妄想してる間に、授業が始まった。年度の終わりということで、各生徒が「今年1年でできるようになったこと」というテーマで発表をしていた。まだ人前で話すことに慣れておらず、緊張しながらも、セリフを一生懸命思い出そうとする姿がたいへん健気で、小学生2年生らしさ溢れるプレゼンであった。

ただ不可解なのは、「できるようになったこと」で70%の生徒が大縄について語り、20%の生徒が掛け算の九九を選んでいた。1年間ずっと休み時間にみんなで大縄ぶんぶん振り回したってこと?

無論、うちの息子も迷いのない目で「大縄を1番がんばりました!」と豪語していた。家でそんな話一度も聞いたことないのに… 

そして、授業が終わった後は、親と先生の懇談会であった。が、ここで問題が発生した。暗黙的に結ばれていたはずの父親同盟が一方的に破棄されたのだ。僕を除く父親2人は、授業後のドタバタに紛れて、すーっと教室からフェードアウトしたのだった。これは、完全に誤算である。

結果、望まぬ形で、クラスにいるのは27人の母親と父親ぼく1人だけになった。実を言うとぼくも途中退出したかったが、噂のヤバい嫁から「なにか重要なことがあるかもしれないから、最後まで聞いといて」と投げやりに頼まれていたから、残らざるを得なかった。だが蓋を開けてみると、話の内容は、担任の先生からの当たり障りない総括話であり、最後に「一年間、ありがとうございました」という締めの言葉で、無事に幕が降りた。

家に帰って、溜まっていた仕事を急いで片付けて、保育園迎えに行って、ご飯を作って食べて、これから宿題を見ようとしたところに嫁が帰ってきて、開口一番「まだ、宿題終わってないの?」と苦言を呈された。

実際、授業参観で溜まった仕事が玉突きで後ろ倒しになったという正当な理由はあるのだが、「授業参観行ってたし、仕方ないよね」とは決して、言わない。

もし口が滑って言ってしまった場合は、嫁のリバースカード「今のは、どういう意味?」が発動する。そして、エンドレス禅問答が始まることは、蓄積されたノウハウによって、容易に想像できたため、「あと30分で終わらせます」と、謹んで、丁重な返事をするのが精一杯であった。