よきにはからえ

おもしろきこともなき世をおもしろく、住みなすものは心なりけり

悪いのは全部インフレ

ついに為替レートが120円を突破しました。

 

一昔前は輸出国家である日本は円安の恩恵を被ることができましたが、最近はどこのメーカーも為替リスクを避けるために生産拠点を海外に移してしまっているため、プラスの効果はあまり見込めません。むしろ、輸入物価の高騰によるマイナス面のほうが目立ちます。

 

この円安の直接的な要因は日米の金利差でありますが、根っこにあるのは米国のインフレです。

 

インフレって、よく聞く言葉ですが、経済状況を俯瞰する上で、最重要ファクターであると思っております。インフレを理解することで、今後の景気の行き先をある程度予測することが可能です。

 

インフレとは、物価の上昇率です。厳密には、企業物価と消費者物価の2種類のインフレがありますが、とりわけ後者のほうが重要であるため、こちらを前提に書きます。またインフレの発生要因という切り口から、さらに2つに分類することができます。

・ディマンドプル型:需要増加に伴うインフレ

・コストプッシュ型:製造・サービスのコストアップに伴うインフレ

 

前者は主に、景気が良い状態に、賃金増加⇒購買力増加⇒需要増加に伴い、観測されるものであり、良い意味のインフレです。今のアメリカのインフレが該当します。

 

後者は、景気の良し悪しに関わらず、原材料費の高騰や為替の悪化によって、製造・サービスコストが増加し発生するインフレです。こちらは、企業の業績を圧迫するため、悪いインフレであり、今の日本のインフレが該当します。

 

そして今の状況で、質が悪いのは、アメリカと日本で質の異なるインフレが同時に起きていることです。

アメリカはディマンドプル型のインフレによって、景気がどんどん過熱していくため、アメリカ政府(FRB)は金の流れを抑えるために、金利引き上げの政策を実施しております。

一方で、日本ではコストプッシュ型のインフレにより企業の業績は圧迫され、景気悪化の循環が形成されております。そこで、日本政府(日銀)は景気を刺激するために、先日、金利を下げる政策(指値オペ)を実行しました。

 

アメリカと日本で真逆の政策を実行した結果、両者の金利差が開いてしまい、現在の大幅な円安を招きました。

冒頭でも述べた通り、この円安はさらに企業の業績を圧迫するので、先日の金融緩和政策は諸刃の剣です。日銀にとっては、苦渋の選択であったことでしょう。

 

そして、今後の景気の行方としては、賃金上昇の兆しが見えれば、景気回復の希望は見えてきますが、現在の物価の上昇状況を見れば、しばらく需要は冷え込んだままではないでしょうか。

 

ちないに僕は来年に家を建てる予定があったのですが、資材の高騰、金利上昇、住宅ローン減税の縮小(これはただの人災)のトリプルパンチのせいで、資金計画を完全にぶち壊されました。