よきにはからえ

おもしろきこともなき世をおもしろく、住みなすものは心なりけり

あいつが家にやってきた

昨日の夜から違和感を感じでていたのだが、今朝そいつがいることに気づいた。

そいつは、定期的にやってくる招かれざる客だ。毎回、忘れた頃に、当然呼んでもないのに、土足で踏み込んできて、そのまま数日間居座る。

こっちも認識するまではその存在すら忘れているもんだから、やってきて、あぁもうそんな時期か、早く帰ってくれんかなぁと心の底で思ったりする。

だが、やつは一切空気を読まずに、信念か矜持かよくわからないが、最低でも3, 4日は居座り続ける。そして、なにも言わずに、ただ機械的に痛みを送り続けることで、自分の存在をアピールする。

そいつの名は口内炎。名というのは、あくまで医学的名称であって、決して親しみを込めて呼んでるわけではない。

俺はこいつに対して、人一倍の嫌悪感を抱いていることを自負している。

なぜなら、食事中の「おいしい」という感情をかき消すくらいに、丁度いい程度の痛みを送ってくるからだ。

これが、激痛すぎて、ご飯味わってる場合ではないくらいのレベルであれば諦めがつく。

だが、こいつの痛みは一瞬おいしいという感情を引き出した上で、まるで見計らったかのようなタイミングで、神経に痛いという信号を送ってくる。そのせいで、途中まで分泌されていた幸福感情が脳の中枢まで届ききることなく、不完全燃焼の塊として脳内に残ってしまう。ほんとに許せない。

だから、こいつがいる時の食事は、美味しい→痛い→美味しい→痛いという感情の落差をずっと味合わされる。一つ一つの落差は微々たるものだが、積み重なってくるとボディーブローのように効いてくるのだ。

俺の場合は、体質の関係もあって、睡眠不足やビタミン不足等の兆候が少しでもあれば、微塵の隙もなく、口内炎が出現する。なので、物心ついた頃から、やつと終わりなき闘いを繰り広げているのだが、30年経った今でも、全然やつの攻撃に慣れることはない。

ちなみにこの切実な思いを、嫁にも話すのだが、あんた馬鹿じゃないの的なトーンで、秒で突き放されててしまう。いつもはお前には共感力が足りないと説教してくるくせに、俺の話には一切共感の姿勢を見せずに、一掃してくるのは、あまりにも酷すぎる。

そんなわけで、俺は今この瞬間も、やつと聖域なき戦いを繰り広げてる。こっちの攻撃は、ショコラ BBと寝る前口内炎パッチの二刀流だ。

早く、平和な食事が送れる日が来ることを願って止まない。