よきにはからえ

おもしろきこともなき世をおもしろく、住みなすものは心なりけり

Time to say goodbye

保育園年長の息子が、卒園遠足で上野動物園に行ってきた。本日はお日柄もよく、最高の遠足日和であったことだろう。

ちなみに、さいたま市の保育園なので、電車移動だ。少し目を離したら、しゃぼん玉のようにどこか飛んでってしまう彼らの手綱をしっかりグリップしながらの長距離移動は、さぞかし大変だったろう。まず引率の先生達のを苦労をねぎらわずにいられない。

そんな先生達の影の努力のおかげで、彼らは最高の思い出を作れたであろう。残念ながら、目玉であるシャンシャンは行き違いで母国に送還されてしまったが、それでも、3年間苦楽を共に過ごした仲間達と、非日常的な空間で思い出を育むのは、素晴らしいことだ。

そして、無邪気に遊んでる彼ら達の姿を想像して、微笑ましく思うと同時に、少し悲しくもなる。

あと数日でみんなとは離れ離れになるのだ。

駅前の保育園なので、小学校はみんなバラバラになる。もしかしたら、一部の仲のいい人とは付き合いが続くかもしれないが、大多数はここでお別れだ。

幸か不幸か、息子本人には、この事実を真摯に受け止めてない、というか理解が追いついてないので、親が勝手に悲しんでるだけである。

だが、これからの長い人生で何度も訪れるであろう「別れ」の最初の1回目を、息子が経験するというのは、なんだか、感慨深い。

それは、大人の階段を一歩上るという意味で、息子の成長を喜ばしく思う反面、自分達から離れていってしまう切なさも混ざった、なんとも言えない混合感情だ。甘いのか苦いのかわからないコーヒーのようだ。

そして、別れのイベントについて考えてて、自分の別れイベントはもう80%終わっているということにも気づいた。残りの20%は息子娘の一人立ちと、あとは死別だ。

若い時は、環境の変化に応じて、新しい出会いと別れがあり、そのひとつひとつを新鮮な気持ちで噛み締めていた。

だが、時は流れ、今やもう社会の荒波に揉まれた人生経験豊富なおっさんだ。

もちろん、おっさんにも転職などの環境の変化はあるが、あの頃の、瑞々しい新鮮な気持ちはもう湧いてこない。感情の井戸はもうほぼ枯渇状態だ。

そんな風にして、自分に対して想起する感情は時の流れとともに失われてしまったので、子供に勝手に感情移入してしまうのだろう。

とりあえず、来週に控えた卒園式では、ハンカチとティッシュは忘れずに持ってきます。