よきにはからえ

おもしろきこともなき世をおもしろく、住みなすものは心なりけり

ソフト vs ハード

本日、仕事でキャリア座談会という社内イベントがあった。先行き不透明な時代の中、大企業でシャブ漬けになることを不安視する若者に向けて、先輩社員が座談会形式で自分たちのキャリアパスについて語る会だ。

そこで、業務で身につくスキルをハードとソフトに分けて説明していたのが印象的であったため、この場を借りてちょっと紹介したい。まずそれぞれの定義なのだが、ハードスキルは資格や専門知識に裏付けられる形式知である一方、ソフトスキルはコミュニケーション力や調整力など、個人の経験に帰属する暗黙知である。またゲームに例えると、プレイする上で絶対必要なのがハードである一方、そのクオリティを左右するのはソフトとなる。

そして、この図式は仕事でもそのまま当てはまると思っている。仕事を進める上で、土台となる知識は必須ではあるものの、成果のクオリティを左右するのはソフト面だ。つまり、ハードスキルをベースとしつつも、コミュニケーションや社内調整を駆使して上司や顧客の要求を正確かつタイムリーに満たすことが大事なのである。逆にハードスキルだけが独り歩きすると、ただの自己満足にしかなり得ない。

しかも往々にして、ハードスキルを得意とする人はその武器の使い方も知らぬまま、闇雲に知識の深化に走りがちなのである。かく言う自分がその傾向にあるからだ。理系男の悲しき性といえばいいだろうか。とにかく全体感を掴むのが苦手で、「木を見て森を見ず」に陥りがちだ。

でもソフトスキルだけを伸ばせばいいのか?と言えば、そうシンプルな話でもない。ソフトスキルはハードスキルと組み合わさることで真価を発揮する。言葉は悪いが、ウィルスのようなものである。口先だけでやり過ごす人も一定数いるが、核となるハードスキルがないと薄っぺらい感じになる。僕の出向先は商社系なのだか、専門知識がないことに憂いている若手中堅は一定数いる。

そんなわけで、結局のところ、ハードスキルもソフトスキルもバランスよく持っていないといけない。なんだ、結局いいとこどりかよと思うかもしれないが、世の中そんなもんだ。バランスよく立ち振る舞える人が安定的に成果を出せるのだ。

ただ言いたかったことは、自分がこれから身に着けようとしているのはハードなのかソフトなのかは、意識的に峻別しておいた方が、人生戦略を立てやすいのではないかと思うわけだ。例えば、35歳の自分がこれから新しいハードスキルを習得するよりも、これまで蓄積された人生経験を活かすためのソフトスキルを磨く方が賢明だと思う次第だ。