よきにはからえ

おもしろきこともなき世をおもしろく、住みなすものは心なりけり

村上ワールドで人生観変わった

昨年から村上春樹の小説を読み始めた。ノルウェーの森から読み始め、そして今や完全にその世界観の虜である。

村上ワールドをじっくりと味わいたいので、1冊読み終わってから、次のタイトルに移るまで適度な期間を設けている。なので、もう読み始めて1年くらい立つが、まだ3タイトルしか読んでない。要はそんな独自ルールを設けるくらい、どっぷりとはまっているということ。

それだけ、村上ワールドを愛してやまない理由だが、あえて一つに絞るとすれば、主人公のキャラが魅力的なところで、具体的には、その自己肯定感の高さにある。

自己肯定感が高いといえば、何かの能力に長けてて社会的にも成功してる人のイメージであるが、村上ワールドではそうではない。僕の知ってるタイトルでは、主人公は内向的で友達がほぼいない。仕事もつつましい感じで社会の片隅でしっぽりと暮らしてる。でもそんな自分を肯定するでも否定するでもなく、淡々と受け入れ、そして何より率直に生きている。そこがすばらしいと思った。

特に個人的に1番好きなフレーズは、ノルウェーの森のワンシーン。社会的に成功してる先輩から、「お前は俺みたいなになりたいか?」と聞かれた時に、「うらやましかないですね。僕はあまりにも僕自身に慣れすぎてますから」と答えたところ。

世の中には自分よりもすごい人はゴロゴロいるが、かと言って、その人になりたいか?と言われたら、それはまた別問題。なぜかと言われたら、たぶんなんやかんやで自分の価値観を受け入れてしまってるから。好きなところも嫌いなところも含めて。特に自分自身に「慣れすぎている」て表現が、ありのままの自分を受け入れてるニュアンスが滲み出てて、絶妙なワードセンスだと思った。

こんな感じで、村上ワールドの主人公は、自分を取り繕う事なく、総じて率直に生きてる感じが、物語全体を通じてじわりじわりと伝わってくる。

大げさな表現だが、この本を読んで僕の人生観も少なからず影響を受けた。これまでは理想の自分像を常に追いかけていたが、そうではなく今の自分を受け入れる方が、色々うまく回ることを学んだ。

もしこの記事読んで、村上ワールドに興味を持って貰えたら幸いです。